姑はいつも部屋の扉を開けている。
姑の部屋からは、
大音量のラジオ、
もしくは、
大音量のテレビが流れている。
家中に響くほどの音で、
野球中継があるときは、テレビとラジオの両方が流れていてギョッとする。
なぜ、扉を閉めないのか。
姑は朝、自分のベッドやカーテンにファブリーズをスプレーしまくる。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ…。
あまりにシュッシュしているから、
数えてみた。
50回だった。
このあとしばらくは廊下まで匂う。
なぜ、扉を閉めないのか。
そんな姑が扉を閉めるときがある。
夜眠るときと、
仲の良い親戚と特別な話をするときと、
見られてはいけないものを出し入れするときである。